カウンセリングサロンArk(アーク)杉並のBlog

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感情の話2

 未だに羽毛布団が手放せず、布団の衣替えの時期を逃した感があります。どうも、カウンセリングサロンArk杉並カウンセラー加藤です。

 

 寝るときは暑く、朝は寒いので体が忙しく、体調が整いづらい時期だなとひしひしと感じております。

 

 さてさて、前回『感情の話』の続きを書いていきたいと思います。

 

arkcounseling.hatenablog.com

 

 前回は感情の発現に関する理論についてでしたが、今回は感情の機能や影響について書きたいと思います。

 

 感情にはまず適応的な機能があるとされます。ヒトと動物の表情には進化的な連続性があり、感情とは進化の長い淘汰の産物であるという見方があるんですね。

 

 また、外界からの刺激(事物や事柄)を良い-悪いの判断を決める判定機能があるともいわれているようです。これは判断に基づいて、接近や回避という判断を下すと考えられているためです。

 

 そして、参照機能もあるとされます。子どもは曖昧な状況にさらされた際に、母親の表情を手がかりにするということからいわれています。

 

 最後にコミュニケ-ション機能があるといわれています。感情反応がそれを知覚する他者に対して情報を提供するというものです。そういった表出行動が他者によって評価され、それが表出した者にフィードバックされます。これをバックは社会的バイオフィードバックと呼んでいます。これが繰り返されることで、特定の感情経験やその文脈に言語ラベルが貼り付けられるとされます。これをかみ砕いていうと、何か出来事があって、最初はなんだかわからず泣いていたが、本人の反応や出来事の性質などにより周りから「悲しいね」といわれることによってその感情が「悲しい」ということがわかるというものですね。

 

 しかし、こういった文脈は集団によって違うため、エクマンらはそれを神経文化モデルと呼びました。

 

  次に感情が行動に与える影響について書いていきます。

 

 まず、感情は自律的な反応、表出行動、その感情につけられる言語的ラベルやその感情を引き起こす出来事の知識などとリンクしてネットワークを構成しているという考えがある。それを「感情ネットワークモデル」といいます。その社会であれば、まず明らかに怒るであろう出来事があり、怒りで体が緊張し、自分は怒っていると認識するもしくは周りから怒っているといわれる、また、前に同じようなことがあったことを思いだすなどという一連のつながりのことをさしていると考えられます。

 

 また、記憶の気分一致効果というものがあり、何かを覚えようとするときの気分と、覚える内容が一致している場合に、一致していないときよりも覚えやすくなるというものです。また、物事や出来事を思いだすときにその気分状態と一致している内容の記憶を思いだしやすいというものを気分一致効果といいます。

 ネガティブな気分の時には、ネガティブな内容を記憶しやすく、また、思いだしやすいというものなんですね。

 この効果は、記憶だけではなく、将来の予測や評価判断を行う場面でもみられるようです。ネガティブな際には、将来の予測や、何かを評価する際にもネガティブになりやすいということですね。

 

 さらに気分状態依存効果というものも考えられており、ある気分の時には過去に同じ気分のもとで覚えた内容が思いだしやすくなるといいます。気分一致効果と違うところは、思いだす内容よりも、それを覚えた時の気分に左右されるという点ですね。

 

 そのほかにも感情が行動に与える影響を考察したものとして、何かを評価するときに自分の感じたことを手がかりにしようとする感情情報(機能)説や、ポジティブな感情は維持しようとし、ネガティブな感情を修復しようとする気分維持修復動機、ポジティブ感情は簡便で直観的な情報処理を、ネガティブな感情は分析的でシステマティックな処理を増大させる感情と情報処理方略、感情が社会的判断に及ぼす影響として、用いられる方略のいくつかに影響するとした感情混入モデル、感情が意思決定、その状況に置ける過去の身体反応の記憶や身体信号に影響されるとするソマティック・マーカー仮説、ポジティブ感情経験が思考-行動レパートリーを拡張し、成長と発達を導き、それがより多くのポジティブ感情の経験を生み出すという拡張ー形成理論などがあります。

 

 さて、ここまで書いてきましたが、特に気分が行動に与える影響についてのところで、ネガティブな気分の場合にはネガティブな記憶やネガティブな気分の時に記憶された内容が想起されやすいというのが重要になってくるかと思います。

 

 つまりネガティブなときにはネガティブなことに注目しやすいということです。

 

 ネガティブ気分が抜けず、いいことがあるように思えない、そういうときには専門家に相談するのがいいのかもしれません。

 

 

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