カウンセリングサロンArk(アーク)杉並のBlog

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歪曲王の話がしたい(※『ブギーポップは笑わない』アニメのネタバレを含みます)

 気温が上がる日も多くなってきましたね。暖かくなるのは大歓迎ですが、花粉が飛ぶのがこの時期ネックですね。耳鼻科に定期的に通わないと、なかなか仕事にも集中しづらくて大変です。

 

  さて、最近アニメを好きで観ているのですが、以前ここで書いていた『ブギーポップ』シリーズが歪曲王篇に突入したのでそのことについて書きたいと思います。

 

 過去記事は以下です。

 

arkcounseling.hatenablog.com

 

 ブギーポップについてはこの記事に概要が書いてあるので、気になる方はこちらをお読みください。

 

 シリーズ5冊目の『ブギーポップ・オーバードライブ 歪曲王』が現在アニメで配信しています。

 

 このタイトルにもなっている歪曲王とは、ある人物の別の人格的側面として表れたものです。これは彼自身の超能力といってもいいもので、それは自己紹介時(※原作)には『人の中にある歪みに君臨するもの』と言っています。

 

 例えば登場人物の道元咲子は、親友にひどいことを言ってしまって、謝ることができないまま事故死してしまったという過去を抱えています。この体験により、本人は自分のことを悪い人間だと思ってきました。そうすることで、自分の心を守ろうとしたんですね。友人に対する罪悪感が大きすぎて、そのことを意識の外に追いやり、また悪い人間としてふるまうことで、自分は人にひどいことをしてしまうような人間だと思いこもうとしたんですね。

 

 しかし、そんな道元咲子に歪曲王は語りかけます。『(中略)苦しみを、心の中から消し去ってしまいたいと願うものを、逆に黄金(きん)に変えるようにしなければならない――』と。

 

 その苦しみはもう起きてしまったことなので消すことができない。むしろそれを輝けるものに変えていかなければならないと、この時、歪曲王は死んだはずの幼馴染が成長した姿で優しく語りかけます。

 

 歪曲王の創りだす世界から目覚めて、ブギーポップ道元咲子は出会います。その時に、歪曲王は主体がないため、咲子の歪曲王が優しかったのならそれは咲子自身の優しさだとブギーポップから伝えられます。過去のつらい出来事が彼女の優しさを歪ませてしまっていたのではないかと。苦しんできた分だけ優しい人間だったのではないかと言われ、彼女は親友が好きだった気持ちを思い出して涙します。そして、その気持ちが光り輝く黄金ではないかと訊ねます。

 

 このように歪曲王は人の中にある歪みを呼び起こし、それを人々が自分の意思で癒そうとするにはどうしたらいいか探るために実験をしていたと語ります。

 

 部分的にとり上げて書いてきましたが、これは一部なので、是非原作を読むかアニメを観ていただきたいと思います。

 

 さて、ここまで書いてきましたが、なかなか考えさせられる内容だと感じました。

 

 人は誰しも心残りがあると思います。その人自身へ悪影響を与えている場合も往々にしてあります。

 

 この物語ではそれを歪みとして扱っていますが、それはその人自身にとってその時必要な変化であったとも考えられます。先の例でいえば、罪悪感に押しつぶされないために自分を悪い人間だと思い込むというのは、心を守るための当然の反応の一つだとも言えます。

 

 歪みと言ってしまうとそれ自体が悪いもののようにも聞こえますが、それ自体がその時々で必要であったものです。それが時間がたつにつれて状況に合わなくなってきてしまったのではないかと考えられます。例えば服で考えると、成長して身長が伸びてきてしまうと、前の服は体に合わなくなってくると思います。前はちょうどよかった考え方でも、それが時がたつにつれて合わなくなってきてしまうということがあります。

 

 そこで新しい考えに更新していければいいんですが、なかなかそれまでうまくいっていた方法を変えることは難しい場合があります。

 

 もし、そういったことで困ることがあれば専門家を頼るのも一つの手だと思います。 歪曲王のように超能力は使えませんが、別の視点から考えるきっかけになるかもしれません。

 

ブログ担当: K

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